産婦人科で内視鏡下手術の保険が認可されたのが1994年で,それ以降全国的に普及してきています。子宮付属器腫瘍手術,子宮外妊手術,子宮内膜症手術,子宮全摘術や子宮筋腫摘出術は開腹手術に取って代ろうとしています。最近では早期子宮体癌手術(準広汎子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清術)や骨盤臓器脱に対する膣仙骨固定術(保険術式は腹腔鏡下膀胱脱手術)が保険で認められるようになり適応は拡大しています。近い将来早期子宮頚癌手術(広汎子宮全摘術+骨盤リンパ節郭清術)も適応になる模様で,現在先進医療として行われています。
内視鏡下手術の醍醐味はやはり小さな傷で開腹と同等かそれ以上の手術ができるということに尽きると思います。その達成感は登山で言えば山頂に立った時,サイクリングレースで言えば完走してゴールを切った時に似ていると思います。スコープ,鉗子類を腹腔内の奥深いところまで入れることができるのでより接近した精密な手術が可能になることも魅力的です。気腹と言って腹腔内にCO2ガスを入れて空間を確保するので,後腹膜腔では開腹では得られない視野を確保できるのも魅力的です。開腹では困難な骨盤底の手術にはもってこいの手術だと思っています。それから緊急手術との相性も良く,特に腹腔内に大量出血した卵管妊娠破裂は非常に良い適応と思っています.自己血回収装置による術中回収式自己血輸血を併用した腹腔鏡下子宮外妊娠手術は同種血輸血を回避し術後貧血の悪化を阻止するので最高です。開腹では腹腔内の血液が多少なりとも腹壁外にこぼれてしまうのに,腹腔鏡ではこぼれることなく漏れなく回収できるのです.すごくの一言です。
患者様にとっても低侵襲で術後回復が早い,傷も小さく美容的なメリットがあり,患者満足度の高い手術です。
今や産婦人科医の習得する手技の一つになっています.そんな魅力一杯の内視鏡下手術を遠方へ行かずともこの地元岐阜で習得できるのです。サポートは岐阜市民病院と岐阜大学病院にいる技術認定医が行いますので,安心して研修できることに太鼓判を押します。